さまざまなキャッシュレス決済ブランドの登場で、今や多くの業界で決済の多様化が進んでいます。ただ、現金、クレジットカード、QR決済などと決済の種類が増えることで、オペレーションが複雑になるケースも。
そうした課題を、便利なキャッシュレス決済端末(スマート決済端末/モバイル決済端末)の導入で一挙に解消したのが、サバエ・シティーホテルです。新端末の導入で、業務がどう改善されたのかを、同ホテルを運営する株式会社チカイ商事 常務取締役・近藤祐真さんに聞きました。
福井県鯖江市内の中心部にあるビジネスホテル。最上階にはレストランを備え、和食料理人がつくるこだわりの朝食を、抜群の眺望とともに味わえる。レストランは宿泊者以外も利用可能で、ランチやディナーではイタリアンと和食を提供。また、200名を収容できる宴会場をはじめ、結婚式やパーティ、会議などを行えるバンケットも複数備える。
以前は、お客さまからの支払いをどのように決済していましたか?
もともと現金、クレジットカード、そしてPayPayなどQR決済に対応していました。クレジットカードはカード会社から貸与いただいた端末を使い、QR決済はQRコードの載ったパネルをフロントに置いて対応する形でした。
ホテル業ということもあり、宿泊客の7割近くがクレジットカードで支払われます。ただ、最近は行政のキャンペーン施策の後押しもあり、QR決済も増えています。また、旅行サイトなどを通して、事前決済されるお客さまも一定数いらっしゃいますね。
また当ホテルの最上階では、一般のお客さまもご利用できるレストランを営業しており、そちらでは約半分のお客さまがクレジットカード、残りの約半分が現金とQR決済で支払われます。
決済に関して、何か課題は感じられていましたか?
少し不便に感じていたのが、QR決済のオペレーションです。QRコードが載ったパネルをフロントに複数並べる必要があり、かつお客さまが使われるブランドにあわせてパネルをご案内する必要がありました。スペースをとることと、スタッフの手間が少しかかる点に、課題感を感じていまして。とくにレストランの方は、レジ周りのスペースが限られているので、なんとかしたいなと感じていました。
QR決済は、オンライン上で管理する際の管理画面がブランドごとに分かれており、何か確認したい時に手間がかかる点もネックでしたね。経理担当者からは、ブランドごとに売上を集計するのが大変だとの声も挙がっていまして。
クレジットカードに関しても、レシートの控えを毎月2回、各クレジット会社に郵送する必要がありました。
このように、キャッシュレス決済のブランドごとにスキームが分かれていることが、フロントと経理の負担になってしまっていたんです。
ちなみにクレジットカードでいえば、手数料の関係で、あるブランドを取り扱っておらず、お客さまから「使えないの?」と聞かれることがしばしばありました。
そうした課題に対して、どう対応されましたか?
他の事業でやりとりするシステム関連の取引業者さまから、PayCAS Mobileという便利なキャッシュレス決済端末があることを聞き、検討することにしました。調べたところ、これなら現状の課題がいろいろ解決されそうだったので、2023年3月より導入しました。台数は、ホテルのフロントとレストランのレジに1台ずつ、計2台になります。
PayCAS Mobileを導入してみた、率直な感想をお聞かせください。
キャッシュレス決済がこれ一台で完結するところが、すごくいいなと感じました。
クレジットカードもQR決済も、このブランドは使えてこのブランドは使えないというのではなく、基本的にあらゆる決済方法に対応します。したがって複数の端末を使う必要がなく、また、お客さまが何で支払うにしてもこちらの端末でどうぞとご案内でき、オペレーションが楽になりました。QRコードのパネルを、レジ周りに置く必要もなくなりましたね。
クレジットカードとQR決済を行う際は、端末をどう使われますか?
クレジットカードの場合、まずはお客さまにカードを端末へ差し込んでいただくかスライドしていただき、その後端末の画面で暗証番号を入力していただきます。暗証番号がわからない場合は、署名していただきます。最近は、タッチ決済機能付きのクレジットカードも増えていて、そちらであればカードを端末に近づけるだけで決済が完了し、暗証番号を入力する必要もありません。
QR決済の場合は、お客さまのスマートフォン上にQRコードを出していただき、それをスタッフが端末で読み込む形です。PayCAS Mobileは前面カメラと背面カメラを切り替えることもできるので、今後は端末を置いたままお客さまにスマートフォンを近づけていただくスタイルでの決済を採り入れようとも考えています。
管理の面では、いかがでしょう?
そちらの面でも、かなり業務が効率化されました。以前はQR決済のブランドごとに管理する必要があったのが、PayCASを通して一括管理する形になり、確認や集計の手間がだいぶ削減されましたね。
またクレジットカード決済の場合、決済情報は電子データで自動報告されるため、毎月2回のレシート送付業務がゼロになりました。
こうして、決済のオペレーションとバックオフィスの業務の両方が、PayCASに「一本化」された点が非常によかったなと。経理担当者の負担も、大幅に軽減されたと思います。
対応するブランド数は、以前より増えましたか?
はい。まずクレジットカードは、以前とほぼ同じ手数料額で、未対応だったクレジットカードのブランドが使えるようになりました。
またQR決済に関しては、以前は主要なブランドのパネルだけを置いていましたが、PayCAS Mobileを通して決済するスタイルになったことで、今はほぼすべてのブランドに対応しています。
レストランの業務で、何か変わった点はありますか?
PayCAS Mobileは、コードレスで持ち運びが可能なので、テーブル会計を行えるようになりました。以前はクレジットカード決済の場合、いったんカードをお預かりし、レジの端末を通してレシートを印字した後に、お席に再びうかがってお客さまに署名していただく必要がありました。今なら、PayCAS Mobileをお席までお持ちし、その場でカード決済を完了することができます。
端末を使いはじめる際の設定の手間や、使ってみての操作性、反応速度に関しては、いかがですか?
まったく問題を感じることなく、使用できています。
新しいシステムを入れる際は、たいていスタッフに嫌がられるものですが(笑)、PayCAS Mobileに関しては嫌がられることは一切ありませんでした。そこは、操作がかんたんで、目に見えて便利になる点が大きいのかなと思います。みなさん、満足して使ってくれているのではないでしょうか。
あらためて、PayCAS Mobileがホテルにもたらしたものとは?
福井でもキャッシュレス化の動きは進んでいて、すでに現金が使えないお店もいくつかあります。今後ホテル業界でも、キャッシュレス化の流れはどんどん強まるでしょう。
そうした時代に対応するには、現状の決済システムを変更する必要がありました。それを、このタイミングで行えたことがよかったなと思います。決済まわりの業務を新しいスタイルにアップデートする、いい機会となりました。
サバエ・シティーホテルとしての、今後の展望をお聞かせください。
ホテル業を通して、地元に恩返しをしたいです。それには、現状のように宿泊やレストランに力を入れるのはもちろんですが、人を外から呼べるホテルになることが大切だと考えています。たとえば、200名が入れる会場を生かして、地元のオーケストラによる演奏会を開催し、外からお客さまを呼んで地元全体が潤うようにするなどです。今後、地元のキーマンの方々とも手を取り合いながら、そうした多彩な取り組みを展開していきたいですね。